エリザベス・リードを追憶する
すみれ、タンポポ、れんげ草という三軒のバーが路地に並んでいました。その名前の並びに惹かれた三十六歳の俳優、芹沢と花村の二人は、それぞれ、すみれとれんげ草に行って、一時間後にタンポポで落ち合う約束をします。幻のような路地のバーで二人が体験するのは、昭和の小さなバーであり得たかも知れない、リアルで、しかしファンタジックな出来事です。かつてあった酒場という存在への愛惜を込めたような物語。
初出・底本:『短編を七つ、書いた順』(5として所収)幻戯書房 二〇一四年
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