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評論・エッセイ

あすへの話題 太陽と僕と三分間

寒に入って数日後、僕は自宅に向けて歩いていた。山なみに沈む寸前の、朱色に輝く太陽から空に向けて、紫とピンクとを帯びた茜色の光が広がり、いくつもの雲が下からその色に染まっていた。急いで自宅に入った僕は、写真機を持って外の道に戻った。しかし、そのときすでに太陽は沈みきり、平凡な空があるだけだった。

『日本経済新聞』二〇一三年一月二十六日(夕刊)

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