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評論・エッセイ

あすへの話題 山葵の海苔巻き

明治四十三年、深川に深川夜烏という俳人が住んでいた。六月、深川は永井荷風を含む友人十人ばかりを招いて酒宴を催したという。この酒宴に出た食べ物がじつに良い。酒の良いのを二升、そら豆の塩茹に胡瓜の香物を酒の肴に、干瓢の代わりに山葵を入れた海苔巻きだった。江戸に向けての想像がかき立てられるではないか。

『日本経済新聞』二〇一三年六月二十九日(夕刊)

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