青林檎ひとつの円周率
新聞社の文化部に勤める西野美樹の三十四歳の裸身から始まり、時を遡りながら彼女の新聞社での仕事ぶりが描かれます。彼女の企画案である「日本人と林檎」の内容、手ぬぐいを腰に巻いた彼女の姿などの描写が、日本の近代史に重なり、それがひとりの小説家を生むことに繋がる構成が、カレーライスへと帰結する驚きに満ちた物語。そして、読み終えると、きっとグラニー・スミスのアップルパイが食べたくなります。
初出:『文藝』二〇一七年夏号
底本:『くわえ煙草とカレーライス』河出書房新社 二〇一八年
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