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小説

ほろり、泣いたぜ

三十歳の加古川康平と二十八歳の水島百合江は二人とも役者であり、同じバンドのギタリストとヴォーカリストです。もう一人のヴォーカルだった女優の急死、加古川の高校時代の先輩で同じく役者でバンドマンでもある真田の引退と、彼らの周囲は慌ただしく動きます。戦前の歌謡曲の歌詞に乗せて、片岡義男には珍しくストレートな恋愛が描かれ、そしてバンドの旅は続きます。

初出:『文藝』二〇一六年秋号
底本:『くわえ煙草とカレーライス』河出書房新社 二〇一八年

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