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評論・エッセイ

ノートに切り抜きを貼る

外国の雑誌に、美女の顔が、色も鮮やかに印刷してあった。下唇では、唇の粘膜をすこしだけはみ出して、口紅が塗ってある。僕は口を中心に、その美女を雑誌のページから切り抜いた。この切り抜きから、口紅をいつもこんなふうに塗っていたひとりの女性をめぐる短編小説が出来るかもしれない。これはその最初のメモの断片だ。

底本:『昼月の幸福──エッセイ41篇に写真を添えて』晶文社 一九九五年

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