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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

人間の馬鹿さかげんのシルエット

空を写真に撮ろうとするとき、カメラのファインダーごしに見える画面のなかを電線が一本横切っていると、その電線はとてつもなく醜い。仰天するほどに人工的で不自然で不気味だ。一本の電線は、いかにも人間的な、ひとつの象徴的な代表だ。地表に増殖する、ありとあらゆる人工物が空と向き合う星、それが地球であるようだ。

底本:『昼月の幸福──エッセイ41篇に写真を添えて』晶文社 一九九五年

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