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小説

この冬の私はあの蜜柑だ

蜜柑と言えば炬燵、炬燵と言えば蜜柑、この短編小説は煎じ詰めれば、そういう物語です。作家の優美子が実家を出て一人暮らしを始めた一軒家は、何もないがらんとした空間だったのだけれど、そこには電気式ながら掘り炬燵があることを優美子は発見します。友人から引っ越し祝い代わりに送られてきたカタログから炬燵布団を買い、炬燵蜜柑をしに行くと言ったその友人を新居に迎えます。炬燵と蜜柑の組み合わせは、会話を次々と転がしていき、男性と、その炬燵に入る自分を優美子は想起して、男性を招きます。そこで炬燵と言えば蜜柑の意味が分かるのです。

初出:『この冬の私はあの蜜柑だ』講談社 二〇一五年十一月
底本:『この冬の私はあの蜜柑だ』講談社 二〇一五年十一月

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