横置きの東京 神田で見た書き割りの青空
快晴の暑い日曜日の午後、僕は神田で写真を撮った。まっ青な空は書き割りに見えた。そう思うと、その下にひしめいて建ちならぶ大小さまざまなビルディングは、映画の撮影用に建造された、精緻なリアルさをきわめたセットという、架空のものに見えた。このような感じかたは、廃墟になった次の日、新品の廃墟を僕に思わせた。
底本:『日本カメラ』二〇〇四年十月号
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快晴の暑い日曜日の午後、僕は神田で写真を撮った。まっ青な空は書き割りに見えた。そう思うと、その下にひしめいて建ちならぶ大小さまざまなビルディングは、映画の撮影用に建造された、精緻なリアルさをきわめたセットという、架空のものに見えた。このような感じかたは、廃墟になった次の日、新品の廃墟を僕に思わせた。
底本:『日本カメラ』二〇〇四年十月号
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