VOYAGER

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評論・エッセイ

サンシャイン・ミュージック

沖合ではサーファーがひとり、波に乗っていた。高く盛り上がった波の、濃いブルーの腹を赤いボードが切り裂いていく。その様子を波打ち際で見ていた彼女の前に、左右から二人の男がギターを弾きながらやってくる。その歌声と波の音、椰子の葉の音、風の肌ざわりなどを、ギターの音が完璧にひとつに統合していた。

底本:『サーフシティ・ロマンス』晶文社 一九七八年(「サーフシティからの航空便」14)
初出:『宝島』一九七七年七月号(サーフ・シティからの航空便 第16便「サンシャイン・ミュージック」)

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