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小説

白い町

なにもかも白のせい。男は死に物狂いで赤を引っ張り出す。

会話と拳銃だけで構成された、シンプル極まりない短編。
いや、その2つの前に、大前提として白い町がある。
エーゲ海を思わせる青い海に、すべての建物が白い町。
男はそこにいる。何もかもが白い。圧倒的に、狂気の白だ。
白が失われる夕刻以降の時刻と真っ赤な自分の車だけが救い。
恋人ではなく、ただ性的な関係を続けるだけの女と
連日電話をし、彼は苛立ちを募らせる。
そして2人が会うその日。悲劇の赤、男にとっては脱出の赤がやってくる。