『ふたりの女たち』という愛の物語
五歳の少女にとって、その青年とはじめて会った日、彼女の運命は早くも決定されていた。青年の顔を見ながら、彼女は、私はこの男性と結婚するのだと、はっきり心に決めていた。五歳の少女にも結婚の決意くらいは出来るのだ。たいていの場合、その決意は実現にまではいたらずたち消えとなるが、彼女の場合はちがっていた。
底本:片岡義男エッセイ・コレクション『なぜ写真集が好きか』太田出版 一九九五年
『本についての、僕の本』新潮社 一九八八年所収
前の作品へ
次の作品へ
五歳の少女にとって、その青年とはじめて会った日、彼女の運命は早くも決定されていた。青年の顔を見ながら、彼女は、私はこの男性と結婚するのだと、はっきり心に決めていた。五歳の少女にも結婚の決意くらいは出来るのだ。たいていの場合、その決意は実現にまではいたらずたち消えとなるが、彼女の場合はちがっていた。
底本:片岡義男エッセイ・コレクション『なぜ写真集が好きか』太田出版 一九九五年
『本についての、僕の本』新潮社 一九八八年所収
前の作品へ
次の作品へ