VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

MENU

小説

花が濡れてます

やめろ、って風が言った、と、彼女は言った。

予兆は冒頭のシーンから漂っている。
その後、房総の自然の中を、物語が進んでいくうち
いつしか忘れそうになる頃、ああ、やっぱり。
予兆は現実のものとなる。
彼女が一度決めたことはくつがえらない。
彼女は自分に嘘をつきたくないが
すんなり通す彼でも世間でもないだろう。
花も瞳も、季節の中で濡れている。

このエントリーをはてなブックマークに追加