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評論・エッセイ

ガリ版刷りの教科書というものが、あったんだ

「一冊の本」は、いたるところにある。敗戦の翌々年が小学校一年生になった年だから、ガリ版刷りの教科書など、「一冊の本」のうちだ。兵隊さんの話をスミで消して使った古風な色刷りの教科書もそうだ。毎日、当番をきめては、放課後にスズリでスミをすり、先生が黒板に書き出す部分に、スミをフデで塗っていくのだ。

底本:『町からはじめて、旅へ』晶文社 二〇一五年改版(一九七六年初版)
初出:『家庭全科』一九七五年十二月号

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