撮られた人の行方 1 太腿への同時代的共感
自分達が学生だった時代のヌード雑誌にこそ同時代的な共感ができる女性たちが保存されている
「撮られた人の行方」は、1994年に世界文化社から発行された「MEN’S EX」創刊号から連載が始まった連作です。その最初の一編が『太腿への同時代的共感』。40歳のノンフィクション作家、高倉健二は、大学時代からの友人、沢田が語る、自分達が学生だった時代のヌード雑誌にこそ同時代的な共感ができる女性たちが保存されているという話を受けて、神保町に古いヌード雑誌を買いに行きます。それらを見た高倉はひとつのインスピレーションを得て「撮られた人の行方」という長編ノンフィクションの構想を練り始めます。ここから物語が始まるのです。
底本:『MEN’S EX』一九九四年五月号