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小説

アイス・キャンディに西瓜そしてココア

旧知のカメラマンが西瓜と彼女の脚を撮った10年前の追憶の夏、大学時代に同級生と海で食べたアイスキャンディの記憶。

 三十八歳の中田佐知子がひとりでココアを飲んでいる初夏の朝から物語は始まります。彼女は兄夫婦の家にいて、朝食後、東京に向かうことが徐々にわかってきます。父親が亡くなって、母を助けて父が残した食堂を切り盛りしていたこと、その母が亡くなった後も五年間、食堂を続けていたこと。食堂をやめると連絡した旧知のカメラマンが西瓜と彼女の脚を撮った10年前の追憶の夏、大学時代に同級生と海で食べたアイスキャンディの記憶。佐知子は、東京に向かう新幹線の中で、回想しつつ、これからの生活に想いを馳せます。過去は過去として。

底本:『木曜日を左に曲がる』左右社 二〇一一年

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