VOYAGER

片岡義男.com 全著作電子化計画

MENU

小説

本当の自分を見たくて

「自分自身が、自分自身を見ている」

カメラというものは、機械だから、
何の感情も偏見もなく、目の前の対象をありのままに映し出す。
そうした性能に対する信頼から、男と女は
自分たちの性の時間を、3台のヴィデオ・カメラに収めていく。
自分はあんなことをしているのか、あれが本当の自分なのかと
録画されたものを見ているのもまた同じ自分なのだ。
本当の自分とは何か? 「本当」なんて本当にあるのだろうか。
それは、わからない。
しかし、カメラが確かに捉えた事実は、まぎれもなく、そこにある…

このエントリーをはてなブックマークに追加