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小説

三重奏の主題

男はやじろべえ、または夢のような抽象論

男が一人。女が二人。そこには恋愛感情がある。
このような状態はしばしば「三角関係」と呼ばれ、
著しい憎悪や不均衡を呼び込むが、ここではそうではない。
これは三角ではなく、やじろべえだ。
左右にそれぞれの女性がいて、
男は支点に位置し、ひどく安定している。
1対1の付き合いよりも、そのほうが男は安定するのだ。
しかし、二人の女はどうか。
小説の全編を通じて、冷たい雨が降っている。7月だが冷たい雨だ。
そこで彼女たちは火花を散らし、…

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