この章の原稿を書く前に、片岡義男さんと電話で話をした。
「DONT LOOK BACKのことを僕も書くのですが、ジョーン・バエズにスポットを当ててみたいと考えているんです」
「バエズについては絶対に書くといいよ」
「ですよね。きわめて単純な言葉で表すと〝可哀想″ですよね」
「そうだよ、あれは可哀想だ。気の毒というか、悲しいというか」
「ディランの彼女に対するあの態度はどうかと思います」
「バエズがディランのホテルの部屋を出て行くシーンがあるだろ。あの場…