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東京箱入り娘(その3)|2台の自動車篇

 この連載では、片岡義男作品の核心を「閉鎖系」と捉え、その閉ざされた空間の具体的な現れとして「箱」に着目し、「電話ボックス」と「エレヴェーター」を取り上げました。第3回目の今回は「クルマ」です。いや、片岡義男はカタカナで「クルマ」なんて書くことはなく、多くの場合はステーション・ワゴン、セダン、などと書いていて、あるいは総称として律儀なほど「自動車」と表記されることが多いので、今回は「自動車」の話です。

同一線上の2台の自動車

 自動車。小説の舞台となる「箱」を想像してみた場合…