VOYAGER

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小説

「ママ、ママ」

その切実さを成就させるために、彼女には現実とは別の形式が必要だった

人は、自らの生い立ちを選ぶことはできない。
空手のインストラクターを務めるようなしなやかな肢体を持った
20代の美しい女性に成長しようとも、
信じて疑わなかった人から「実はあなたの生みの親ではない」
と、ある日、告げられるような事態にも遭遇する。
では、彼女を生んだ人は今、どこにいるのだろう?
それは「ママ、ママ」という呼びかけが正当に機能する場所であり、
その場所は、努力の末に彼女が自力で手に入れたものなのである。

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