女性たちがニューヨークへ消えていく
ぼくの身辺から、女性の友人たちが次々に消えていく。十七年まえから現在にいたるまでのあいだに、七人の女性の友人たちが、いなくなった。七人ともすべて、東京を捨ててニューヨークへいってしまったのだ。
十七年まえに、ぼくの女性の友人としてまず最初にニューヨークへいってしまった人は、いまではそこでたいへんな要職につき、活躍している。活躍ぶりを、目のあたりにつぶさに見たことがあるが、あのときの深い感銘はいまでもぼくの胸のなかで新鮮だ。彼女からはじまって、つい最近の第七号まで、全員がニューヨークへいき、そこで活躍の道をきりひらいて…
底本:片岡義男エッセイ・コレクション『「彼女」はグッド・デザイン』太田出版 1996年
『きみを愛するトースト』角川文庫 1989年所収
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