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評論・エッセイ

『第三の男』を、やっとこうして楽しんだ

 一九四九年のイギリス映画『第三の男』を僕は子供の頃にたしか下北沢のオデオン座で観た。面白い映画は西部劇しかないという子供だったから、『第三の男』はつまらないと思った。そしてそれっきりとなったままだったが、ときどき妙に気になるときがあった。傑作として評価されているこの映画を、つまらないと思った子供の僕はなにだったのか、という気になりかただ。
『第三の男』と言えば、監督のキャロル・リードや主演女優のアリダ・ヴァリ、そしてジョーゼフ・コットンとオーソン・ウェルズというアメリカの男優たち、さらには撮影を担当したロバート・クラス…

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