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片岡義男.com 全著作電子化計画

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書評

自動車泥棒のビューイック・リヴィエラ

 写真のなかで左から二番目にある『自動車泥棒』という小説は、シャーウッド・アンダスンの『オハイオ州ワインズバーグ』とともに、僕にとってはもっとも記念的な小説だ。読みながら受けとめたスリルと共感の密度や高さ、そして読み終えた僕の内部に残った感動の深さなどにおいて、このふたつの小説を越える作品に、僕はまだ出会っていない。

 作者のセオドア・ウィーズナーにとって、おそらく処女作だった『自動車泥棒』は、一九六七年に刊行された。評価はたいそう高く、なにかの賞を受賞した。写真のなかにあるペイパーバックになったのは一九…