十年に一度の面白さと言っておこう
〈書評〉マイク・モラスキー著『呑めば、都 居酒屋の東京』
日本の国立大学で教授として教えている著者のマイク・モラスキーさんは、教職員の健康診断の一部分として病歴や生活習慣などについて自己申告する書類のなかで、「酒の量」という項目の、もっとも多い量である「三杯以上」という選択肢の「杯」の字を「軒」に書き換えて提出した、というエピソードを持つ。一軒で七杯呑んだとして、三軒では二十一杯ではないか。
初めて日本に来た昭和五十一年から現在までに積み重ねた、都で呑むというフィールド・ワークの果てに、…
底本:『週刊朝日』2013年4月12日号
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