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書評

「ザ・ルーキー」

 ジム・モリスは幼い頃からボール遊びが好きだった。ピンポンの球からバスケット・ボールまで、ボールならなんでもいい。転がして遊んで飽きない。投げる、蹴りとばす、父や母に高く投げてもらい、それを追いかけて捕る。あらゆるボール遊びが好きでしかもきわめて巧みだった。ボール遊びは成長とともに野球へと収斂し、小学生になる頃には上級生よりはるかに頼りになるボール・プレーヤーとして、地元では知られた存在だった。
 彼の父親は職業軍人だったから、少年のジムは父親の転属に合わせて、住む場所を転々とさせた。どこに住んでも野球の腕でたちまち知ら…

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