キャンディ・ウエイファーに込められた
色とかたちとは味や香りでもある、と考えた次の瞬間、僕はこのキャンディのことを思い出した。アメリカの色とかたち、そして味と香りを、その一身に体現しているものの、ほかに匹敵するものが見つからないほどの好例が、じつはこのキャンディだ。
僕がこれを最初に食べたときから、ちょうど半世紀ほどの時間が経過している。最初に食べたときとまったくおなじ味と香りのまま、いまでもこのキャンディはアメリカのどこでも手に入る。東京でなら、四軒か五軒ほどの店で、売っている。僕の記憶が正しければ、売っている店の数は四、五軒にしろ、お…
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