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エッセイ

スター軍曹が降ってくる

 ある日の午後、すずらん通りにある二階の店から、僕はひとりで階段を降りてくる。手ぶらだ。探しているものは、この店にはなかった。では別の店へいこう。別の店への道順はさまざまにあり得る。その日の僕はすずらん通りの東の端まで歩き、そこで靖国通りの側へ渡り、角を左へまわり、靖国通りを西に向かった。
 三省堂の前をとおり過ぎる。そしてとある店に入る。探してみる。ない。店を出て僕はさらに西へと向かう。おお、そうだ、と僕は気づく。交差点まで引き返し、靖国通りの北側へと渡る。錦華小学校の通りを歩いていく僕は、すぐにとある店に入る。
底本:『音楽を聴く2──映画。グレン・ミラー。そして神保町の頃』(第三部 この都電はジン・ボ・チョへ行きますか) 東京書籍 2001年

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