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エッセイ

プラモデル

 国電の駅を出てから踏切まで、どんなところをどのような経路で歩くのだったか、もう覚えていない。
 現場へいって実際に歩いてみれば、思い出すだろう。しかし、あの頃からもうすでに十年以上が経過しているから、現場のほうだってずいぶん変化しているはずだ。
 ごく平凡な商店街のなかを歩いていくのだった、ということだけは覚えている。マーケットのなかをとおってもよかった。駅を出てから踏切まで、何とおりかの歩き方があった。
 踏切は、あかずの踏切として、地元の人たちには、あまり好かれていなかった。雨のはげしく…

底本:片岡義男エッセイ・コレクション『「彼女」はグッド・デザイン』太田出版 1996年

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