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評論・エッセイ

一台のオートバイが、ひとりの現代人を不安から救った

『息子と私とオートバイ』を書くための基本的な体験となったオートバイ旅行をしたとき、著者のロバート・パーシグは三十九歳だった。十一歳になる息子のクリスとタンデムで、ミネソタ州のミネアポリスからカリフォルニアまで、一台のオートバイで旅をした。アメリカ中央部の大平原を走り、ミズーリ河とロッキー山脈をこえ、ミネソタ、北ダコタ、南ダコタ、モンタナ、アイダホ、オレゴン、カリフォルニアにいたるという旅だった。素敵な断片をいくつか引用してみよう。
『オートバイで旅をしていると、何もかも新鮮に見える。車に乗るのは、密室に閉じこめられている…

底本:片岡義男エッセイ・コレクション『彼の後輪が滑った』太田出版 1996年
『ブックストアで待ちあわせ』新潮文庫 1987年所収

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