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エッセイ

昼寝のあとのポッキー

 いつも使っている私鉄の、普段は降りることのない駅で降りた僕は、きれいに晴れた気持ちの良い午後、駅前商店街をその奥に向けて歩いていた。商店街が終わるあたりの店に、ほんのちょっとした用事があったからだ。
 寝具店の前から道をへだてた小さな公園の入口に、二歳くらいの男の子がひとりで立っていた。ぐずって泣いて駄々をこね、いまはひとりにされて泣きやんでいる、という状態にあることは、ひと目見ればすぐにわかった。お母さんの午後の買い物に手を引かれていっしょに来た彼は、歩きながら駄々をこね、腹を立てたお母さんは彼をそこへ置き去りにし、…

底本:『白いプラスティックのフォーク──食は自分を作ったか』NHK出版 2005年
初出:「GLOBAL EDGE」No.2 電源開発 2005年7月

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