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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

拡大にまきこまれた

 水田稲作の村落から始まった、あくまでも個々の現実に則してものごとを考え解決していくという方針は、外から入ってくるもののうち、都合のいいところだけ採り入れてつなぎ合わせていくという、おなじく現実的な方針と合体した。たとえば外国から渡来してくる技術に関して、いらないものはいらないものとして排除し、必要なものだけを受け入れて研究し、工夫と改良を加えては拡大させていく方針が、明治に変わる頃にはすでに日本のものとして定着していた。
 時代の進展とは技術の進歩のことだ。進歩とは、技術の機能範囲が拡大されることだ。そしてその拡大に支…

底本:『日本語で生きるとは』筑摩書房 1999年

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