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評論・エッセイ

日本のMの字 その2

 ここにもあのMの字がある、と思って撮ったのではない。グラフィックな面白さに惹かれて撮った。ただそれだけのことだ。しかしその二点をこうして左右のページに配置したのち、あらためて観察すると、東京の景観のなかに点在するディテールとしてのこのMの字が持っている力を、認識しなおすことにもなるようだ。
 この黄色いMの字は、少なくともその周辺に対しては、求心的に作用しているではないか。周囲の雑多な様子を統合し、自分に向けて求心させる力を、このMの字は持っている。どちらも夜の光景だが、それはたまたまのことだ。夜だからMの字はその内部…

底本:『ホームタウン東京──どこにもない故郷を探す』ちくま文庫 2003年

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