時間のテーマ・パークを
時間のテーマ・パークを
建てられてからすでに存分な量の時間が経過しているがゆえに、それじたいがすでにそのような時間そのものとなっていると言っていい建物、そしてその周辺。たとえばそのほんの一例として、次にあるような建物とその周囲。
そういった建物ばかりで綿密に構成されたテーマ・パークという幻を、いつのまにか僕は自分の写真機のファインダーごしに見るようになった。あらゆる建物が、すべての道路が、そしてそれらを取り巻くありとあらゆる造作が、平均して五十年の歳月をその内部に、…
底本:『ホームタウン東京──どこにもない故郷を探す』ちくま文庫 二〇〇三年
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