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片岡義男.com 全著作電子化計画

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評論・エッセイ

思い出のバブル・ガム

 アメリカの駄菓子の記憶としていまも僕のなかでもっとも鮮明なのは、リコリスの味と香りだ。リコリスは甘草(かんぞう)と日本語では呼ばれている。ルート・ビアをひと口飲んだとき、うへっ、薬臭い、と顔をしかめる人が日本には多いが、あのときのいわゆる薬臭さというものが、リコリスなのだと理解すればいい。リコリスはその根を精製してエキスを用いる。ルート・ビアのルートは、まさにその根のことだ。
 リコリスだけで作ったリコリス・スティックをチャンピオンのようにして、そこからピラミッド型ハイエラルキーの底辺に向けて、リコリスないしはリコリス…

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