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エッセイ

マグリットの絵のように

 梅雨(つゆ)が近い。しかし今日は晴れていた。海と海岸の上に青い空が広がり、夏のような陽ざしが満ちている空間のなかを、さわやかに風が吹き渡った。
 その風のなかに、今日の彼と彼女はいた。ふたりは午前中からともに仕事をしていた。お昼になって昼食をふたりで食べているとき、今日のような美しい日にこれ以上に仕事をするのはもったいない、とふたりの意見は一致した。午後からの仕事はすべてさぼることにきめた。
 彼の車ですぐに出発し、一時間三十分後には海岸に着いた。そしてそれから一時間近く、ふたりは海の風を受けとめながら散…

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