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評論・エッセイ

過去と未来から切り離されて

 自分、という人にとって、いちばん楽なありかたは、どのようなありかただろうか。自分、という人は、この自分自身という意味ではなく、いまの日本に生きている人たちのひとりひとり、というほどの意味だ。
 自分という人の基本は、なにかを思い、その思いにもとづいてなんらかの行動をするという営みの、合計だ。思い、そして行動するためには、そのための場、つまり時間が必要だ。その時間というものを、過去、現在、未来つまりこれから先、という三つに分けて、そのそれぞれに、思う、という機能をあてはめてみることにしよう。
 自分、という…

底本:『坊やはこうして作家になる』水魚書房 2000年

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