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評論・エッセイ

ガーフィールドは、ただ単に猫であるだけでは、満足しない

 壁にとりつけたドア・ストップのそばに所在なげにすわっている猫は、ドアがいきなり勢いよく開いたときには、ドア・ストップとともに自らもドア・ストップになってしまう可能性が大きい。
 ドアのうえに登ってそこにすわっている猫は、状況ぜんたいを広く見渡すことが可能であり、そのことによって、やや哲学的な思想にふけることも出来よう。
 ブラウン・ペイパー・バッグのなかに入りこんだ猫は、自分自身に関して、まったく新しいパースペクティヴを手に入れることが出来る。たとえば、ブラウン・ペイパー・バッグのなかに入りこんでいる猫は…

底本:片岡義男エッセイ・コレクション『自分を語るアメリカ』太田出版 1995年
『本についての、僕の本』新潮社 1988年所収

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