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評論・エッセイ

いちばん大事なアメリカ製品は、なにですか

 僕にとってもっとも大事なアメリカ製のものは、アメリカ英語、そしてそのなかに織りこまれている、もののとらえかたや考えかたの総体だ。それはピンからキリまであるのだが、出来るだけいいほうを目ざすとして、これがなかったら僕はどうにもならない。僕が僕ではなくなってしまうほどに、それは切実で深刻なものだ。僕の中心軸の重要な部分を、それは占めている。
 しかし、それは手に取れる品物ではないし、誰にでも手に入る商品でもない。言葉というものにもっとも近い品物、つまり製品はなにだろうかと考えてみると、本はすべてそうだ。受信するときに本は欠…

底本:『ノートブックに誘惑された』角川文庫 1992年

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