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片岡義男.com 全著作電子化計画

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書評

アメリカの青年が書いた、東京の外資系会社の一年間。彼はカワシマ・キヨコをどこでみつけたのか

 ジョン・バーナム・シュワルツの小説『自転車の日々』は、バスではじまりバスで終わっている。東部の大学を卒業したひとりの白人青年が、東京へやってくる。虎ノ門にある外資系のコンピューター会社に就職し、そこで仕事をしながら、日本でのひと夏を彼は体験していく。空港から寄宿先の高田馬場まで、彼はバスで来る。そして、日本を去るときも、高田馬場からバスで空港へむかう。
 ぜんたいは四十の短い文章に分かれていて、どの章にもタイトルがつけてある。「グレープフルーツ・ジュース」「頭痛」「富士山」「寿司を作る」「ゴジラ対スモッグ・モンスター」…

底本:片岡義男エッセイ・コレクション『本を読む人』太田出版 1995年

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