ミッキーは谷中で六時三十分
なにげなく入った喫茶店。店主からの提案から物語は転がっていく。
梅雨の雨上がりの午後、なにかの予感を覚えながら、どこか遠くに行きたいと電車に乗って散歩に出るフリーライターの柴田耕平。池袋で乗り換え、赤羽の手前の駅で降りた彼は、普段なら行かないタイプの喫茶店に、予感に導かれるように入っていきます。店主と話しているうちに、彼は、その店を引き受けてくれないかと言われ、娘をつけるからと、彼女がいるビリヤード場を教えられます。そこから更に彼女の母親がやっている料理屋へと物語は転がり続けて谷中駅6時半の鮮やかなエンディングまで、柴田と一緒に読者まで転がっていきます。
底本:『ミッキーは谷中で六時三十分』講談社 2014年5月
初出:「群像」2014年3月号
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