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片岡義男.com 全著作電子化計画

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小説

防波堤を歩きながら

「私のほかに女性がいるでしょう」と彼女は何度も言う

「私のほかに女性がいるでしょう」と、
女性が男性に向けて問いかけたとしたら、詰問と考えるのが通例だろう。
しかし片岡義男の小説にあっては、通例に従うようなことはまずない。
この言葉は彼女が持ちたがっているイメージであり、願望であり、
嫉妬であり、そしてなにより、男に対する投げ出すような愛情である。
それを受け止めながら男は嘘をつく。ひどい男? そうだろうか。
男の気持ちはなにげないようで実に不思議な
ラストシーンに鮮明に現れている。

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