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小説

アイスキャンディは小説になるか

「アイスキャンディをいっしょに食べただけでは小説にならないのよ」というのは真実ですが、それだけでエッセイは書けるのです。

週刊誌のアンカーや雑誌のコラムなどを書いているライターの橋本哲郎は、その日、三人の編集者に会いました。銀座で会った週刊誌の編集者に仕事を頼まれ、小説は書かないのかと言われ、神保町で会った編集者には小説を書けと、三省堂で原稿用紙を買わされます。貸していた蛇の目傘を返してもらうために会った漫画雑誌の編集者に紹介された町を、降り始めた雨の中、蛇の目傘をさして歩く彼は、傘にいれてくれと女性に声を掛けられます。その彼女との出会いが、彼に小説を書くということに向き合うきっかけとなる、その経緯を描いた短編です。

初出:『Coyote』(二〇〇五年〜二〇〇七年)連載「廃墟の明くる日」と『SWITCH』(二〇〇五年四月号)所収「美しき他者」を再構成・加筆
底本:『青年の完璧な幸福 片岡義男短編小説集』スイッチ・パブリッシング 二〇〇七年七月

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