ジャックはここで飲んでいる
バーボンを中心に語りについてのミステリがそっと生まれる。池田が小野田に熱心に頼む、小説に書いて欲しい内容とは……
昼は喫茶店で、夜はお酒も出す店に、作家の小野田直人が一人座っています。そこにイラストレーターの池田雄一郎と編集者の加賀美由紀が合流して、三人はバーボンを注文します。池田がジャックと呼ばれていたという話からジャック・ダニエルについての話になり、池田は小野田に、小説に書いてくれと、ある地方のバーの話をします。ただ黙ってバーボンを飲み、店主も黙っていてくれたという話では小説にならないという小野田に、池田は更にバーボンのグラスを重ねながら物語ります。バーボンを中心に語りについてのミステリがそっと生まれる小説です。
底本:『ジャックはここで飲んでいる』文藝春秋 2016年5月
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