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小説

あんな薄情なやつ

台風が接近中の夜。とあるコーヒーの店で、不思議な「薄情の連鎖」が始まる。

東京に台風が接近中の夜、「コーヒーの店で、ひとときを」と看板に書かれた店の客は、カウンター前が好きな女性とスーツ姿の男性客の二人。その女性客は、店がある建物の四階に住んでいると話します。男性客が帰った後.店主は女性客に、この店で知り合って結婚して離婚した男女の話をします。その話に出てくる女性は、女性客の友人であり、薄情な人なのだという話をして、店主の元の奥さんのカフェについて訊ねたことから、不思議な「薄情の連鎖」が始まります。コーヒーの香りを背景に語られる「薄情」という言葉の意味をふと考えてしまいます。

底本:『この冬の私はあの蜜柑だ』講談社 2015年11月
初出:「IN THE CiTY」2015 Winter issue Vol.12 Radio Sweetheart

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