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片岡義男.com 全著作電子化計画

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小説

煙が目にしみる

涙より煙がいい

ひどい男、と言ってさしつかえないだろう。
仕事が忙しいことを理由に、約束を反故にし続ける男である。
しかし女に対する同情も微妙だ。
待つ女になりすぎている。惚れた弱み?
それでも、女と男は一晩だけ、会うことができた。
倉敷から金沢、金沢から新潟。なんとムダに(?)西から東へ。
大人だから、酒も飲めば煙草もある。
煙草の煙が、目に入る。
もし涙が出たとしても、それは純粋に煙のせいなのだ。

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