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小説

九月の雨

貼らない写真と送らない手紙

2人には、大切な機器がある。
少女は、カメラだ。日々、関心のおもむくままにスナップを撮り、日記帳に貼り付けていく。
少年は、オートバイ。親も知らないうちに入手して、それに乗って旅に出ようとしている。
少年が少女にオートバイを見せたのは、旅立ちの日=別れの日、だった。
その写真は、まだ貼られていない。まだ彼には送られていない。
宙ぶらりんな時間の中に、2人の未来はある。

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