やがて、模型たちが語りはじめる 最終回 アメリカがいちばん輝いていた50年代 最新鋭の航空機が少年たちの憧れだった時代
過ぎ去った時間は二度と戻ってはこない。過去になったきりだ。そして過去は刻一刻と新たに蓄積されていくから、昔は遠のいていくばかりだ。
四十年前、五十年前といった、存分に遠のいた過去は、それではもはやどこにもないだろうか。実体としては残っていないのだが、たとえば紙に印刷されたものとしては、まだ豊富に残っていると言っていい。なかでも貴重なのは、古い雑誌だ。
一般的な雑誌というものは、それが発行された時代の中の、もっとも新しいことがらや、先端的な話題などで、全体が構築される。時代は雑誌の中に封じ込められる。<…
『エム・キャッツ』08 二〇〇二年十一月
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