先見日記 偽札作りに未来はあるか
子供の頃に大人たちから聞かされた偽札作りの方法を、いまでも僕は記憶している。方法にはふたとおりあった。ひとつは絵の具や色鉛筆で本物の紙幣を原寸大に模写する、という方法だ。戦後の十円札をいま見ると、これなら模写出来るのではないか、少なくとも見た目の雰囲気くらいは、多少の絵心がある人ならかなりのところまで出せるのではないか、などと思う。
もうひとつの方法は切り貼りだ。おなじ額面の紙幣を十数枚、用意する。まず最初の1枚を横置きにして、1センチほどの幅で短冊に切り離す。横幅が15センチの紙幣なら、短冊が15本出来る。ここから先…
『先見日記』二〇〇四年十二月二十一日
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