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評論・エッセイ

先見日記 さらに失われる数十年

 大きく変わるべきときに変わらなかった当然の結果としての現在の状態。いまの日本はこれなのだと僕は判断している。バブルが崩壊してから10年たっても立ち直れずにいることが、「失われた10年」と表現されているけれど、その10年はいま15年へと確実に延長されつつある。
 バブルとは、戦後日本の、その時点までのすべてだった。日本のぜんたいだ。経済全域の右肩上がりを土地が担保したという、とんでもない事態だった。しかも担保したのは土地そのものの利用価値などではなく、急激に値上がりし続ける土地価格という、幻の一種だった。


『先見日記』二〇〇四年八月二十四日